4月。春の到来とともに訪れる入学シーズン。入学早々行われる行事の一つ。それが全国体力テストだ。
子どもの体力低下問題。近年、頻繁に取り上げられるトピックの一つだがコロナ禍を経てこの流れは加速してしまっている。フィジカルスクールを運営する身としては大変耳の痛い話題だが,,,
そもそもコロナ前においても体力低下の傾向は見られた。が、令和に入りここ3年くらいはその傾向が増し、コロナが終わった現在においてもコロナ前の水準には戻っていないのが現状だ。
1日1時間。これが子どもに最低限必要な運動時間とされる。コロナ禍において毎日この1時間の確保がいかに大変だったか。現場の指導者のみならずご家庭でも身を持って体感されたのではないだろうか。
今となっては『ソーシャルディスタンス』なんて言葉も忘れるほど過去のことに思えるけど、密集、密着をさけ遊びも制限されていた時代が確かにあって、それは運動能力の低下という目に見える形で私たちの前に突きつけられている。
令和5年の全国体力テストでは体力低下に歯止めがかかったと総括されているが、そこには裏があり新たな問題が。それが”体力運動能力の二極化問題”である。
要は運動能力を俯瞰で見たときに点数の高いグループとそうでないグループに大きな隔たりが生まれ、平均レベルの中間層が減少傾向にあるということ。
これはまさに運動機会の大小に起因する問題で、習い事など積極的に運動に触れている子は運動能力が平均以上に向上し、そうでないグループはただでさえ少ない運動機会が増えず、一般的な平均レベルまで運動体力レベルが向上していかないことを示唆している。
学校体育一つをとっても、私たちのころのような鍛錬や動きの習得のような意味は薄れ、誰もが参加できるコミニュケーションゲームやレクリエーションに趣が移っている。学校体育だけでポテンシャルを引き出すことは難しくなっているのが現状だ。
そんな背景もあって、運動能力の偏りや低下が見られる子が多かったコロナ禍においてスクールに来る子どもたちに限れば、1時間みっちり質の高い運動に触れることでむしろ運動能力が向上していくことがほとんどだった。
その中でも、近年多くの子に見られる特徴が”上半身の弱さ”
・腕立てができない
・ロープ登りができない
・ブリッジができない
このような特徴が顕著に出る。
特に幼少期からサッカーを始め、週5回はサッカーをやってきた。こんな子に多い特徴。
これらの問題はプレイ中に現れる。
・すぐに転ぶ
・相手に吹き飛ばされる
・ボールが飛ばない
・怖がっているように見える
・自信がなさそうにプレイしている
いいプレイをしようと思ったらからだのバランスがとても大事。上下左右そして斜めのつながりをうまく使う。
下半身はサッカーで鍛えられる。上半身は鍛えられない。下半身の力に振り回されてバランスが崩れる、繊細な動きができない。こんな現象は本当によく遭遇する。
上半身と下半身のバランス。そして、それらをつなぐ密度の高い体幹。本来は遊びの中で全身運動として養われるべきもの。そこには自発的な動機が紐づくから。
しかし、忙しく制限の多い現代っ子においてはある程度狙って、計画して刺激を与えていく必要が出てしまう。小学生→中学生と計画的に段階的に身につけていきたい。
スクールプログラムはこのような社会問題も踏まえ上半身の強化が多く含まれている。最初は苦手な子もできるようになるにつれ、自信がつき、やる気が生まれ、さらにできるようになる。
そんな好循環が生まれる仕組みを盛り込んで、楽しそうに体を動かしている。
今年の全国体力テストは頑張る!とみんな今から
意気込んでいるこのところのフィジカルスクールでした。
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